一般社団法人青少年養育支援センター陽氣会代表理事の杉江健二です。
 当会は平成25 年に設立し、「すべての親に子育ての喜びを、すべての子どもに“ 生かしの道を”」をミッションとして児童虐待防止活動に取り組んでまいりました。
 私は親子二代、約40 年にわたり名古屋で養育里親(現在はファミリーホーム)を続けてきました。これまでに30 人以上の里子の養育に携わってきましたが、「これまでよく頑張ってきた」と自負しておりました。
 しかし、ある初夏の午後、私の家のすぐ目の前にある名古屋市中央児童相談所の屋上から、「ママー、ママー」と泣き叫ぶ子どもの声が聞こえてきたのです。また次の日にも、今度は中学生くらいの男の子の声で「ちくしょー、ちくしょー」と大きな叫び声が聞こえたのです。その子ども達の悲痛な叫び声を耳にし、里親活動も大切な児童福祉ではあるが、「本当の児童福祉とは、親に虐待をされる子どもたちや里親宅にくるような子どもたちをこの社会から減らしていくことではないか」と考えるようになりました。
 あの時の子ども達の叫び声が、今も私の活動の原点になっています。
 それがきっかけで、里親活動に加え、児童虐待の発生予防および再発防止の取り組みを始めました。多くの悩める親の声に耳を傾け、どうすれば叩いたり怒鳴ったりせずに子どもを育てられるのか、どうにか子育ての負担を軽減してあげられないか、真剣に向き合ってきました。
 そうした中で、当会独自の「SS 式イライラしない子育て法®」(通称:CPA)を開発し、子育て中の親や支援者に向けた「イライラしない子育て講座」や指導者の養成講座を開催するなど、児童虐待防止の活動に取り組んでいます。そしてこのたび、より活動を拡げるため2021 年7 月に法人化いたしました。
 しかし、残念ながら現実には児童虐待の数は増え続け、ニュースで報道される悲惨な児童虐待事件はあとを絶ちません。「NO!児童虐待」と言っているだけでは、虐待をなくすことはできません。「イライラしない子育て法」をベースに、児童虐待のない社会、すべての親子が笑顔で暮らせる社会の実現を目指して今後も活動を拡げていきます。
 今後ともご支援とご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

一般社団法人 青少年養育支援センター陽氣会
代表理事 杉江健二

杉江 健二|Kenji Sugie

【プロフィール】
昭和43年名古屋生まれ。大阪大学 大学院卒。NPO法人 あいち子育て支援プログラム研究会理事長。名古屋明誠高 等学院 学院長 (不登校支援相談員)。ファミリーホーム「陽 氣道場」を運営。
「SS式イライラしない子育て法®」開発者。長年、里親 として児童福祉活動に携わる。全国各地での子育て講演会 は年回100 回を超える。子育てに関する相談実績は 4,000 回以上。また、児童相談所の依頼による職員研修 や虐待者の更生指導も行う。