子ども虐待のいま
止まらない虐待死、毎日1人
毎日1人の子どもが親からの虐待によって尊い命を落としています。
年間約350件、10年間で約3,500件、32年間で1万件以上の子どもの命が、平和な日本で虐待によって奪われているという厳しい現実があります。
子ども虐待 約200倍 増加の現状
「子ども虐待」は減少するどころか、増加の一途をたどっています。
令和4年(2022年)度では、全国で219,170件を超える「子ども虐待」が報告されました。
この数字は、平成2年(1990年)度の統計開始以来、一度も減少したことがありません。
この32年間で「子ども虐待」の報告件数は約200倍にも増加しており、深刻な社会問題となっています。
◆子ども虐待の種類
「子ども虐待」とは、一般的には保護者がその監護する18歳未満の児童に対して行うもので、殴る、蹴るなどの「身体的虐待」や「ネグレクト」「心理的虐待」「性的虐待」の4つのパターンがあります。
そしてこれらは単独ではなく重複して現れることもあります。
→ 2022年度 51,679件 約2.4倍
殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束するなど。
親が子どもを道連れに自殺をする一家心中もこれにあたります。
→ 2022年度 35,556件 約1.9倍
家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない、子どもと必要なコミュニケーションをとらないなど
→ 2022年度 129,484件 約7.3倍
言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など
→ 2022年度 2,451件 約1.7倍
子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノ写真の被写体にする、卑猥な言葉を投げかける など
※こども家庭庁報告より
子ども虐待を考えてみましょう
▼野田小4女児虐待事件
2019年1月24日に千葉県野田市で発生した、小4(10才)女児が両親より継続的な虐待を受け、自宅浴室で死亡した事件
▼大阪2児餓死事件
2010年7月30日に発生した大阪府大阪市西区のマンションで2児(3歳女児と1歳9ヶ月男児)が母親の育児放棄(ネグレクト)によって餓死した事件。
▼目黒女児虐待事件
2018年3月に東京都目黒区東が丘の住宅街で、毎朝4時頃から勉強を強制されるなどの虐待を受けていた女児(5歳)が死亡し、女児の両親が逮捕された事件。
これらの事件は、保護者による深刻な虐待や育児放棄によって子どもの命が奪われた痛ましい事例です。
虐待の背景には、保護者の精神的・経済的問題や、ストレス、孤立などの要因が存在しています。
これらの痛ましい事件を教訓として、子ども虐待の防止には社会全体で取り組むことが重要です。
早期発見・介入システムの強化、関係機関の連携改善、保護者支援の充実、そして一人一人の意識向上と行動が、子どもたちの命と未来を守るために不可欠です。
子ども虐待はなぜ起こるのか?
子ども虐待が起きる原因
子ども虐待が起こる背景には、複雑で多岐にわたる要因が存在します。
主な原因として以下が挙げられます:
- 家庭環境の問題
- 夫婦間の不和
- 家族間のストレス
- 社会経済的要因
- 住宅問題
- 経済的困窮(貧困)
- 社会的孤立
- 「孤育て」による親子の孤立
- 子どもに関する要因
- 発達上の問題
- 親の過度な期待
- 親の背景
- 生育歴
- 偏った子育て観や世界観
- 精神衛生上の問題
- うつ病などの精神疾患
これらの要因が単独で、あるいは複合的に作用して虐待の引き金となることがあります。
近年では、特に親のメンタルヘルスの問題が注目されており、虐待の重要な要因の一つとして認識されています。
子ども虐待の予防と対策には、これらの多様な要因を総合的に理解し、適切な支援を提供することが不可欠です。
子ども虐待をなくすためには?
子ども虐待をなくすためには、虐待の根本的な原因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
もし、自動車教習所に通うこともなく、ある日突然、車を与えられて、「今日からこの車を運転しなさい」と言われたらどうでしょか。
どれがアクセルで、ブレーキかも分からず、ウインカーの出し方すら知らずに車を運転したら、事故を起こす可能性は極めて高くなります。
私達はそうならないように自動車教習所に通い、正しい車の乗り方、扱い方や交通ルールを習います。
しかし、車よりもっと扱い方(育て方)が難しい子どもを扱うにも関わらず「子どもを育てる(しつける)」方法については、まったく学ぶ機会もなく私達は親になるのです。
その結果、子育てにおけるさまざまな問題に対する対処の仕方が分からず、イライラしたり、怒鳴ったり怒ったりするだけの子育てに陥ってしまうことが多々あるのです。

自動車を運転するために自動車教習所 で学ぶように、子育てをするためにも学ぶことで事故が起こるのを未然に防ぐことができます。
子育てを学ぶのに最適な「イライラしない子育て講座」
楽しくわかりやすく学ぶ子育て講座として「イライラしない子育て講座」を全国各地で開催しています。
一般の親を対象とした講座はもちろん、保育士や教職員、児童相談所職員、里親、施設職員、児童家庭支援センターの職員などの支援者向けの研修でも「イライラしない子育て講座」が数多く開催され、各地で好評を得ています。

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未来に向けて必要なこと
これからの我が国の児童福祉に必要なのは、根本的な解決策を講じることです。
その鍵となるのは、虐待を行う親、すなわち「川上」からの対策です。
親が子どもを虐待することを防ぐ仕組みづくりが不可欠です。
これにより、虐待される子どもの数を一人でも多く減らすことが、現在最も重要な課題だと考えます。
実際には子どもを虐待したいと思う親はいないはずです。
では、なぜ親は子どもを虐待してしまうのでしょうか。
その主な理由は、親が適切な子育ての方法や躾の仕方を知らないからです。
叩いたり怒鳴ったりするなどの虐待的な行為以外の、適切な子育ての手段を理解していないことが問題なのです。
陽氣会では様々な活動を通して、虐待される子どもを減らすための活動を行っています。その一部をご紹介します。
陽氣会の活動実績紹介
①再発防止事業
再発防止事業の効果

②発生予防事業
発生予防の為の保護者支援事業
イライラしない子育て講座 開催実績

参加者の声
- このような話を聞く機会が今までなかったので聞けて良かった。
- 色々なスキルを身につけることが子どもだけでなく、自分自身も楽になると思った。
- 褒めることは、恥ずかしくてしてこなかった。子どもや主人に対して褒め上手になります。
- ロープレで、子どもの気持ちを体験できて、一方的にガミガミ言うのは逆効果だと実感した。
- 子育てのヒントを求める親が自分以外にもたくさんいると分かって、ほっとした。
- 「今からでも修正できる」の言葉に元気がでた。
- 完璧を目指さなくてもいいと聞いて、心が楽になりました。
- 「そっか~」はすぐ使えそうなのでやってみます。
- 親のコミュニケーションの取り方で、子どもの理解が変わることが分かった。
③事業化実績(全国)

あなたにできること
①講座を体験する
YouTubeから好きな時に「イライラしない子育て講座」を見ることができます。
イライラしない子育て講座を体験してみましょう!
②講座を開催・講座開催を委託
個人の方へ
CPAトレーナーや講師として「イライラしない子育て」を広めることもできます。
「支援者として子育てのコツを伝えたい」「子育てスキルを獲得したい」「子育ての悩みを相談したい」と思っている方は是非、CPA会員にご参加ください!
行政・児童福祉関係者の方へ
講座開催の依頼受け付けております。お問い合わせはこちらまでお願いします。
③陽氣会の活動を応援する
ご寄付は、全国各地で開催中の「イライラしない子育て講座」、陽氣会開催の「イベント」「研修」などの運営費として使用致します。